れいのあれ

nagiとの会食は そう呼ばれているらしい

 

 ハグさんが言った

 同僚がアパートまで送ってくれるのが 帰りの日課

 nagiとの 約束の日

 一緒に帰れない れいのあれ です と言っているらしい

 そうなのか あれ と呼ばれる 時間

 茶化されて あれ なのか 

 また 妄想の世界が広がる

 

 土曜日 とりあえず待ってます・・LINE

 ハグさんの アパートに向かって 車を走らせる

 お出かけしたいというので 暖かい食事 ちゃんぽんを食しに

 家から出なかったので 出かけたいと 言って

 

 金曜日の替わり ? それで

 無理をしてるのではないか ?

 nagiのために わざわざ 時間を割いてくれる

 気を使って ? ぼくのせいだから ? 

 ちゃんぽんは あったかくて おいしいです 

 近くだと 見られてしまいそうなので 離れたお店に

 秘密の関係 ? 

 「見られたら オープンにしましょうか ?」

 「・・・・」

 「例のあれですからね・」

 

 車の中だと 話すことも少なく

 静かな時間 お互いの想いを巡らせた時間

 時々 なるほど とか そうですよね とか 呟き

 どうしたんですか と 訊きながらの時間

 眠くなったら 寝ていいですよ 送り届けますから

 

 

 「逝く時は 急かもしれません

  場所と方法は 決めました 時は いつかはわかりません

  塵でできたものは 塵に帰ろうと思います」

 「探し出します」

 「わからなと思いますよ、埋まってしまうので」

 「埋まってたら 掘り起こします」

 

 こんな 会話ができるのは ハグさんだから

 お互いの過去が つながって

 話せる唯一の 人に 

 出会えた 

 「もし そうなっても あなたのせいではありません、

  nagiが バカなだけですから」

 「バカだなんて・・」

 

 この日 三浦春馬が逝った 気持ちはわかる 辛かったんだろうと

 30歳 そんな年に 

 意味を 生きていく意味を 考えて その結論

 辛いよな

 これからなのか これまでなのか そして

 これからもなのか 

 その 意味は重く