一足先に 逝ってしまった彼の元へ
訪れたのは 梅の花咲く頃でした
車で 2時間
家の前に 車を停め
格子戸の中へ
彼の 父とは 2度目
ずいぶん前に 彼の自宅で すれ違った程度
仏前に 手を合わせ 祈る
父から 嗌死による自死だった と
家族が 外出した 時を 見計らって
2階からなかなか 降りてこないので
上がってみると すでに 経ていて
警察を呼び
気持ちが どうかなって
3回忌を 前に 年賀状をもらっていたので
便りをすることにした と
職業についても 長続きせず
自宅で 写経ならぬ 写本を 日々したため
和綴じで 百冊はこえて
その彼が 自死
年賀状の便り だけになってしまっていた 関係
父親の前で 申し訳なき 涙を 流した
一言 何か その前に
言ってほしかった
自分から 冷めた関係をしておきながら
身勝手 な
彼の 人生 は
私の中で 「じゃあ 今は・・」
のままで 止まってしまった
もう 年を取ることのない 彼
人を 好きになる ごとに
本当の 自分は どこにいるのか
探し求める 旅が 始まるのです